【イベントレポート】 創造性をハックする
ネイチャーワークスタイリング
~「自然」がもたらす創造性の効果~

これまで服装、働く場所など、働き方全般が組織の意図によって決められていた。しかし、ニューノーマル時代の今、社員個人が自らの意図に合わせて働き方を選ぶ「INTENTIONAL WORKING」が重要になってきている。2021年3月10日、第2回「INTENTIONAL WORKING」提唱セミナーが開催され、スノーピークビジネスソリューションズ 代表取締役社長 村瀬 亮氏、ヤマガタデザイン 専務取締役 中條 大希氏、プロノイア・グループ代表 ピョートル・フェリクス・グジバチが、「INTENTIONAL WORKING」を軸に「自然と働くこと」を議論した(モデレーターはプロノイア・グループ Chief Positive Officer 丸山 咲)。

本イベントのテーマ「INTENTIONAL WORKING」とは何か。それは「意図をもって働くこと」である。

Beforeコロナの時代は、会社の意図(INTENTION)によって規律や戦略が決定されがちだった。しかしWithコロナの今、働く人一人ひとりが自分個人の意図(INTENTION)で働き方、生き方を決めていく必要がある。

では、会社の意図と個人の意図の関係はどうなっていくのだろうか。
ピョートルはキーワードとして「アウフヘーベン」という言葉を挙げた。

「アウフヘーベンとは、あるものを、そのものとしては否定しながら、更に高い段階で活かすこと。一見矛盾する、相反するものを高い段階で統一し解決する考え方のことです。例えば、宗教と哲学ならどちらがいいのか。この問だと2つは対立してしまいます。ですが、1つ上の段階として、宗教と哲学は何故作られたのか、と考えてみます。両方とも生きる意味、死に向き合うための仕組みです。そう考えると、宗教と哲学は対立せず、高い段階で統一し解決することができます。」(ピョートル)

何が「自然」で何が「不自然」なのか

INTENTIONAL WORKINGでは、自然とビジネスの関係も「働く意図」を実践する上で重要になる。そこでモデレーターの丸山は「ご自身のお仕事で何が自然(natural)で、何が不自然(unnatural)だと思われますか?そう考える理由も教えてください」とスノーピークビジネスソリューションズ 村瀬氏に質問した。

「生き物が生まれて進化し、何かを工夫して創り出すことは自然なことです。ただ、人間がここ100年間で一気にやったことは不自然だと思います。例えば、化石燃料をたくさん燃やしたことは、進化を越えた『やり過ぎ』です。人間たちがこの100年で行ってきた短期的な利益追求は、不自然ではないでしょうか?

短期的成果だけを考えればいいと思っている、思いこんでいるのは人間だけで、それ以外から見ると、人間がやっていることは長期的に効率が悪い可能性があります。例えば、人間がペットボトルを大量に生産して廃棄した結果、それらを回収して元に戻すことにたくさんのお金がかかっています。そういう意味では、生命体がもともと持っているベストなスピード感を無視した進化は、不自然だと言えます。」(村瀬氏)

スノーピーク 取締役 執行役員
Business Process Innovation 本部長 村瀬 亮氏

一方、農業に関わる中條氏は、村瀬氏とは違う角度で「自然」と「不自然」を考える。

「農業という切り口でいうと、農業は不自然です。当社が活動する庄内平野は日本有数の米の産地で、綺麗な田園風景が広がっています。しかし、自然界で一種類の植物が1つのエリアに集中して生えることはありません。農業は人工的な営みである、という意味では不自然です。

あらゆる生き物が生存競争に晒されています。人間は脳が発達しているので、生存の為に色々な工夫をしました。そして、人間が生存の為に工夫することは自然です。しかし、工夫の一部が自分たちの首を締めています。先程のペットボトルが良い例です。私たちはこうした自業自得な課題に直面しています。」(中條氏)

「何を作るにも自然からの資源が必要です。自然の進化の中で、人間の活動は『自然の変化』の1つであるかもしれません。しかし、そもそもこの地球に生命は必要なのでしょうか?宇宙からみたら、人間は不要なのかもしれません。」(ピョートル)

「自然と働くこと」は自由になること?

自然やキャンプの要素をワークスタイルに取り入れている村瀬氏と、農業などと連携し、山形庄内の街づくりを行う中條氏のビジネスは、自然と切っても切り離せない。自然の効果をビジネスに持ち込もうとする村瀬氏のビジネスと、農業など自然の摂理の中で行われる中條氏のビジネスでは、自然の捉え方はどのように変わるのか。丸山が2人に問いかけた。

「私は農業なので自然のど真ん中で働いています。時間の自由度は高いですが、場所は不自由だと感じています。農業は農地が大切なので、場所がそこに固定されてしまいます。仕事の仕方も今日はとても暑いな、寒いなという風に自然や環境に合わせて行動を変える必要があります。予測できないものに働き方を左右されたるので、自然の中で働くと、自然から自由になれない、解放されないと感じますね。」(中條氏)

ヤマガタデザイン  専務取締役
中條 大希氏

一方で村瀬氏は違った観点から回答する。

「『働く』という概念そのものは人間が作ったもので、自然の営みの中で食べ物を調達し、それが進化して自分で生産するというプロセスになりました。

元々は自然の中にいることがスタートでありながら、人間は自然を感じたり、自然のなかで生活を営んだりすることを自分たちから切り離しました。人間は五感の刺激を健全にしないと価値や発想が生まれない、ということに気づく必要があります。そこから考えれば、働くことに関する概念が大きく変わるはず。自然を考えながら働くことは、自由になることなのです。」(村瀬氏)

最後にピョートルは自然を問い直す。

「『自然』とはどういう意味なんでしょうか?『自然な働き方』や『自然な生き方』という表現で考えると見えてくるかもしれません。自然にはメリットとデメリットの丁度いいバランスがあるはずです。『最適なバランス』の基準はどこで決まっているのでしょうか?後ろにどんなバイアスがあって、それを拡大させている社会的な仕組みが何かを考えてほしいです。」(ピョートル)

使命、身体、思考、感情を現場でどうやって活かす?

ピョートルは「自然な働き方」についてこう補足する。

「自然な働き方とは、自分にとって最適、適切な働き方です。それなら、自分の使命ややりたいことの為に働くことの意義は大きいはずです。また、『自分にとっての自然な働き方』は時間管理の問題ではなく、エネルギー管理の問題です。使命に対して責任を持つ覚悟があれば、遅くまで働くことに意味があるのか、きちんと考えることができるはずです。」(ピョートル)

一方で村瀬氏は使命と感情を自覚することの重要性を語る。

「人間には、社会貢献して役に立ちたいという欲求があります。そこに意識を向ければ自然と使命が見え、何が自分を幸せにするのかを考えられるのではないでしょうか。また、人間の脳の可能性は無限ですから、その可能性に気付くことで人間の可能性も広がり、感情もコントロールできるようになります。感情は自然なものですが、大事なのは脳がキャッチした感情をどう処理するか。それに気付くことができれば、何をどう意識して、どうコミュニケーションをすればいいか、全て自分の意思で決められるはずです。」(村瀬氏)

また、中條氏は違った視点で話を進める。

「個人で何かする場合、ある程度、人間性やキャラクター、スキルがあればいいと思いますが、組織で働くことが前提なら、信頼がベースだと感じています。使命感や体調、気持ちといったことを話し合える関係性が築けているか、築けるかどうかが信頼につながると思います。

そうした信頼関係がないと、それぞれの言い分が単純なわがままになってしまう危険性があります。信頼を築く方法は、コミュニケーションしかありません。今、オンラインコミュニケーションが主流な中で、信頼関係をどう築くか。それを考えないと、各自の使命を現場で活かせないのではないでしょうか。」(中條氏)

相反する両方の実現

登壇者のパネルディスカッションの後、ZOOMのブレークアウトセッション機能を使い、セミナー参加者は1グループ5~6名に分かれ、アウフヘーベンの考えを元に「相反するアイデア両方を実現する生き方、働き方はどのようなものなのか?」という問いについて、ディスカッションを行った。

「相反する両方が大切なのに、実際は対立になってしまっている」「今後丁度よいバランスをみつけることが鍵になるのではないか」といった意見が参加者から出てきた。

今回、村瀬氏が語った「自然を考えることは自由になること」、中條氏が語った「自然の中で生きる人間の不自然さ」、ピョートルが語った「自分に最適な働き方を見つける必要性」は、自然と共に生きる人間の自然さ不自然さ、そして、自然の中の人間という生き物を再認識する場であった。

登壇者情報

村瀬 亮(むらせ りょう)氏

株式会社スノーピーク 取締役 執行役員 Business Process Innovation 本部長
※肩書はイベント当時

株式会社スノーピークビジネソリューションズ 代表取締役 社長

1963年 愛知県岡崎市生まれ。㈱キーエンスで10年務めたのち、現場にとって本当に必要なシステム会社が存在しないことに気づき、IT企業を設立。ITを定着させるためには社員の関係性が最も重要であると考え、社員がいきいき働ける会社づくりに尽力する。2016年、 ㈱スノーピークと共同出資で設立した、㈱スノーピークビジネスソリューションズの代表取締役に就任。自然の壮大なパワーとテクノロジーの無限の可能性を健全に融合し、企業の人材問題を解決するためのサービスを提供し続けている。2019年、 ㈱スノーピークの取締役に就任。

中條 大希(なかじょう だいき)氏

ヤマガタデザイン株式会社  専務取締役 

1987年、山形県酒田市生まれ。中央大学法学部卒業後、2009年に給水設備関係のベンチャー企業に入社。2011年に事業部長に就任し、全国5つの支店の立ち上げや新規事業開発を担当し、業界シェア1位の企業に成長させることに貢献。2015年に親族の介護のためUターンするのを機に、ヤマガタデザイン株式会社に入社。創業期のコアメンバーとして、経営基盤の整備やホテル事業「スイデンテラス」や教育事業「キッズドームソライ」、人材紹介事業「ショウナイズカン」など各事業の立ち上げに尽力する。現在はグループ全体の専務取締役に就任し、同社が次の基幹事業として位置づける農業部門の管掌役員として、有機農業を軸に、生産販売/人材育成/ハード開発の3つのアプローチで持続可能な農業の実現に取り組む。

イベントレポート

【第1回】アフターコロナの働き方新常識!『INTENTIONAL WORKING~意図を持って働く~』


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